親指姫

小学生のころ住んでいた、関西のベッドタウンの社宅には、庭に畑がありました。

お野菜も育っていましたが、お花も咲いていました。

 

夏休みだったろうと思います。山口の従姉が泊りがけで遊びに来ました。

そして、ある夕、寝る前に「○○ちゃん、明日の朝、お庭の百合の花の中を見てごらん」と私にいいました。

 

翌朝、わくわくしながら、庭の百合の花の中をのぞいたところ、小さなマッチ箱が入っていました。

開けてみると・・・

色鉛筆で描いたと思われる小さなお姫様の絵が入っていました。

 

この素敵な従姉は、ずっと後になってからですが、急病で亡くなりました。

四人姉妹の末っ子でしたので、まさか、彼女が一番早く逝くとは、誰も思っていませんでした。

 

私も、しばらくは、彼女の不在を信じられませんでした。

でも、彼女は、いい記憶を残して去って行ったと思います。