2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

昔の女性がくつろぐ時

父が家にいたころは、家では、本当にくつろぐことができなかった。父は、しょっちゅう、階段の下から二階の私の部屋に向かって声をかけるのだ。「啓子、おやつにしようよ!」とか、「啓子、ご飯にしようよ!」などと。年取った父には、食べることだけが楽し…

花のような微笑

今までに二度、“花のような微笑”を見たことがある。最初の微笑は、ある尺八を愛するイギリス青年のものだ。尺八演奏家の方からナレーションを頼まれたご縁で、尺八愛好家の方たちのサロンに出入りするようになった。朗読することもある。そこに彼がいた。ロ…

チャーミングなまつ毛のおじさん

ある集まりに行きました。 楽器を演奏する方や、詩を吟ずる方、剣舞を舞う方など、いろいろな芸人さんたちが集まっている会です。 私は、会場の後ろの方に座っていました。 そこから、ちょうど前の方の席に座っている知り合いの男の方の横顔が見えます。 あ…

失くしたイヤリング

タイトルから想像されるような、ロマンチックなお話ではありません。 先日、急にお部屋に入ってもらわなければならなくなり、大慌てで、とりあえずの片づけをしたのですが、その際、イヤリングを入れた化粧用ポーチが、どこへいったか分からなくなったのです…

関西訪問の報告 2

11月に、関西を訪問しました。 その一つの目的は、子供時代を過ごした西宮を訪れ、幼馴染に再会することでした。 香櫨園の駅でお二人と待ち合わせしました。 駅は、すっかり新しくなっていました。 少し早めに行きましたので、まだお二人は見えていません…

タイムマシン

昔のことを思い出していました。そこでは、今はいない親しかった人たちが、生き生きと動き回り、おしゃべりしています。人は誰も、物心ついてから今現在までの過去に、心の中で帰っていけます。タイムマシンって、人の心の中にあるんですね。

関西訪問の報告 1 「煙が目にしみる」の作者の方と会う 

ご報告が遅くなってしまいましたが、11月に、関西へ旅行しました。 エッセイ「煙が目にしみる」の作者、久保田照子さんとお会いするのと、小学生時代に住んでいた西宮(香櫨園)に行って、幼馴染と再会するという二つの目的がありました。(「煙が目にしみ…

「稲むらの火」と中井常蔵さんの思い出           

朗読と出逢う前、当時勤めていた会社のお昼休みに、近くの書店で一冊の本を見つけました。「小泉八雲 西洋脱出の夢」という題で、著者は、比較文学者の平川祐弘さんという方です。新聞の書評を読んで、その本について、少し知っていたので、迷いなく買い求め…