丘の上のミッションスクール

五月になると思い出す歌があります。

さつき のきさいを さつきは歌う
ひととせめぐりて百合咲く五月
マリア祝(しゅく)しませ祝(しゅく)せられませ

九州に住んでいたころ、あるミッション・スクールに通っていました。
毎朝、全校の生徒で、主の祈りを唱え、その月の讃美歌を歌いました。
カトリックでは、五月は、マリア様の月だそうです。

家からバスに乗り、バスストップから少し歩いた丘の上にある学園でした。
地方都市の郊外で、あたりは田園です。
緑濃い季節、バスの窓から見える田園風景がとてもよく、丘の上には
爽やかな風が吹いていました。

子供のころ、日曜学校に通ってはいましたが、初めて触れるカトリックでした。
学園長はシスター(修道女)で、シスターを見るのも初めてでした。

お昼は、校内にある売店でパンとコーヒー牛乳を買って食べていました。
その売店で売っている「御絵」(”ごえ”と読みます。イエス様やマリア様それに聖人たちの小さな姿絵です)やロザリオなど、綺麗でいいなと思いました。
なにもかもが新鮮でした。
中学時代の親友と同じ学校なのもうれしかったです。

ここには、高校一年の一学期にいただけで、父の転勤のため、転校しなければいけませんでした。
学園長のシスターも、クラス担任の若い女性の英語の先生も、お顔をはっきり覚えています。今は、どうしていらっしゃるのでしょう。
この丘の上の小さなミッションスクールは、検索してみましたら、まだあるようです。
再訪してみたいような、みたくないような複雑な気持ちです。
いつまでも心の中に、よい思い出としてとっておくのも悪くないかもしれません。