今日の授業

 お母様よりの依頼があり、小学校三年生の男のお子さんに、朗読の個人指導をしました。お母様が付添で、1時間の授業です。
音読のコンクールに出場なさるそうで、昨年は、入賞なさったとのこと。
澄んだいい声で元気に読まれました。
作品は、徳富蘆花の「自然と人生 抄」の一部と、「太平記」の書き出しの部分です。
どちらの文章も、そのお子さんには、意味が分からないのでしょうが、それでいいのだそうです。
考えてみると、私たち大人も、そういった文章の意味が分かって読んでいるわけではありません。
でも、朗々と読み上げると、気持ちのいい文章なのです。
古典の持つ力ですね。
読んでもらいながら、私が、気づいたところを注意し、次に、同じ個所を、読んでもらいます。
お子さんは、長時間の授業で疲れられたようでしたが、そばで聴いていらしたお母さんは、「注意していただくと、全然違います!」と、感激していらっしゃいました。
大人と違って、まだ読み方に癖がついていなくて、いいなあ、と思いました。
もっとも、このお子さんは、とりわけ、素質がいいかもしれませんが。
昔、知り合いだった朗読家が、「私は、子供にしか教えたくない」と言っていましたが、気持ちが分かるような気がしました。
ただ、小学生のお子さんに教えるのが初めてで、とまどったのは、お子さんは、長時間、集中できないということです。
お子さんが、飽きないように、何らかの手段を考えないといけないですね。