「渚にて」を読みました

渚にて 人類最後の日」を読みました。
イギリス人作家、ネビル・シュートの近未来小説です。
(1957年初刊)
第三次世界大戦が起こり、核によって、北半球は全滅します。
死の灰”は、徐々に南半球にも到達し、南半球の人々は、死を覚悟します。大体の滅亡の日は、分かっているのですが、少し時間があります。
人々は、死を意識しながらも、静かに日常を送ります。
好きだったレーシング・カーを完成させて、レースに出て、優勝することを目指したり、行きつけのクラブが蓄えていた極上のワイン類を、在庫がなくなるまで飲み続けたり、花壇に花を植え、手入れをし、もう見る人がいなくなる、ということを忘れて、夢を見たりするのです。
日々の仕事も、静かに、着々と続けられます。
最後の日々を、静かな恋で過ごす二人もいます。
やがて、とうとう、その日が来て、人々は、死を迎え入れます。

静かな終末観が漂う小説です。

このところの猛暑は、日々、最高気温を記録しています。
この暑さは、年々、増していくのではないか?
それに、未曽有の大災害も、頻繁に起こり、もう、未曽有とはいえなくなるのでは?
地球の温暖化は、もはや、人間の手では止められないのでは?
人類は、もう長くは生きられないのでは?

私自身、老境に入りました。
子どもがいませんので、死んだら世界は終わりです。
渚にて」では、人類が死に絶えても、自然は残り、放射能が消えたら、また、なんらかの生物が現れるだろう、ということになっています。

この小説に引き込まれてしまいました。
一気に読み上げました。
こんなに読書に集中したのは、久しぶりです。