グループホームでの少年探偵団 その2

 昨日、近所のグループホームに朗読の授業に行ってきました。6回目になります。テキストは「少年探偵団」の続きです。
 朗読の合間に、本に出てくることで分からないことを、いろいろ生徒さんたちに訊いてみました。太平洋戦争開戦前のお話ですので、生徒さんたちの方がご存じのことも多いです。
 ダブルの背広とか、服装のお話になり、また、ズボンの話題となった時、これまでの授業でずっと黙っていらした男の方が、初めて発言されました。これはうれしかったです。また、「探偵団」からは離れますが、現在進行中のNHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」に関する話題も出してみました。着物を利用しての洋服の直線截ちのことも、よくご存じの方がいらっしゃいます。残念ながら、みなさまTVは観ていらっしゃらないようでしたけれど。
 「少年探偵団」は、えんえんとして終わらないので、次回からは別のものを取り上げるつもりで、皆様に相談しました。その結果、岡田光代さんの「ニューヨークの魔法」シリーズから取り上げてもいいなと思いました。
 スタッフの方に、生徒さんたちと、おやつを食べて行ってください、といわれて、授業のあと、食堂にご一緒しました。「りんごのタルト」とお紅茶でした。
 食堂でおもにお話した方は、80才くらいの女性です。次回から取り上げるのがニューヨークのお話になるかもしれないのですが、その方は「私はニューヨークは知りませんが、“にゅうよく”なら詳しいです」とのこと。ご実家が銭湯を経営してらしたそうです。銭湯は、きつい職場で、その方も子供のころから、いろいろなお手伝いをされたそうです。
 二人でお話していて、次回からの作品は、ニューヨークもいいけれど、銭湯でのシーンが出てくる、「過ぎた小さなことども」も、いいかな?と思いました。田辺聖子さんのエッセイで、大阪での、田辺さんの子ども時代の思い出です。昭和10年代の銭湯も出てきます。これを読んだら、昔を思い出される方が多いかもしれないと思いました。私からみなさんにお訊きすることもたくさん出てくるでしょう。皆さんも私も楽しめるのではないでしょうか?
 「「少年探偵団」をみなさん、とても楽しんでくださったようで、うれしい」と、生徒さんの前で、いってしまいましたが、楽しんだ方ばかりではないと思います。仕方なく聴いた方もあるでしょう。一方通行にならないよう、皆様の思い出や知恵をお聴きして、一緒に語り合えたらと思います。
ここまで来て、一つ、ステップを上がったような気がします。
 「次にお会いする時は、もう忘れてると思いますけれど」と、はっきりおっしゃる方があります。ご自分が認知症で、全部忘れてしまうのだと承知していらっしゃる方が多いです。将来、私より人生経験が豊かな生徒さんたちに、いろいろな相談や愚痴まで聴いてもらうことになるかもしれません。一度かぎりで忘れてしまわれてもかまいません。私も、将来、認知症になるかもしれませんが、今のことは、ずっと覚えています。どうか、まだまだお元気でいらしてください。