映画 「ターナー」を観ました

有楽町まで「ターナー」を観に行ってきました。
原題は “Mr.Turner” です。
あの画家のターナーの後半の人生を描いているようです。
この人の人生については、あまり知られていなかったようです。
私も、絵は好きですけれど、ターナーの人生については、ほとんど知りませんでしたし、それほど興味もありませんでした。
有名になってから亡くなるまでの人生です。
お母さんは精神病だったようです。
彼の絵の助手を務めるお父さんとはとても仲がよく、観ていると、今の言葉でいう「ファザコン」のようにも思えました。
イングランドウェールズ(?)の素晴らしい風景を堪能しました。
産業革命のころの風物や、街を行く人々の風俗、当時の知識階級の人々のサロンでの会話、貴族の館での夜会など、楽しめました。
ターナーは、感情を顔に表さない人だったようです。
女性のヌードを描くために、娼窟に行き、娼婦にポーズしてもらって絵を描くのですが、その女性に年齢を訊くと、彼女は「22歳です」と答えます。
とたんに、ターナーは号泣します。
感情を決して表に表さないターナーの号泣には参ってしまいました。
私も、涙があふれてきました。
彼の自宅に住む女中さんは、身体的にハンディのある女性で、ターナーにとっては、単なる女中さん以上の役も務めています。
ターナーが亡くなったのを知ると、彼女は泣きくずれますが、そのような仕事であっても、この時代に、このような女性にとっては、まだ、幸せといえる人生だったのかもしれないと思いました。
若き日のヴィクトリア女王と夫君のアルバート公もちょっとだけ登場します。
女王は、ターナーの絵を酷評します。
これは、実際の出来事かどうか分かりませんが、今のエリザベス二世女王や、日本の天皇が、こんなことをいうのは許されないのではないか、と思います。
当時の国王の権力の強さがうかがい知れるエピソードだと思いました。
また、これも、事実かどうか分かりませんが、ターナーは好きになった女性にむかい、「あなたには秘められた美しさがある」といいます。私は、字幕を読んでいるわけですが、ターナー役の俳優さんのだみ声を聴いていると、まるで彼の口から日本語が出ているかのように聞こえます。字幕は、もう定着しているのだな、と思うと同時に、今まで長い間、字幕の向上に努めてこられた方たちの努力は大変なものだったことと、頭が下がる思いでした。
華やかでドラマチックな映画ではありませんが、長い時間にもかかわらず、退屈することなく楽しめました。