年齢不詳

 数年ぶりに会った知人から「あなたは年齢不詳ね」といわれた。
もう慣れている。まだ比較的若い頃から年齢不詳だとよくいわれた。
両親と祖母に、大切に大切に育てられた。憂き世の風を知らない、子供のままの部分がある。だが、やはり長い間生きて来たので、それ相応の世間の垢は身に着けている。

「あなたはほかの女の人たちとは違う、童話の世界だ。それでいて、ちゃっかりしている。」という人もいる。
童顔だし、だから、年齢不詳といわれるのだろう。

年齢不詳といわれると、さびしい気持ちになる。
世間と離れて生きているような気がする。
事実、それに近いような生活をしている。

仕事も自営業で、自由業だ。仕事に必要な能力は抜群だと思うが、現実を生きぬく能力はあまり持っていない。人見知りする。社交的ではない。
私のような人もいるところにはいるのだろうが、決して多数派ではないと思う。
このまま齢をとっていき、本当のおばあさんになったら、もう、年齢不詳などとはいわれなくなるだろう。それまでは、結構、辛い日々が続くのだろうか?