淡々と読む

先日、ある集まりで、女の方とお話しました。
その方は、しばらく朗読を勉強されたそうで、その際、先生が「淡々と読みなさい。そうすると作者の言いたいことが伝わります」とおっしゃったそうです。
私も、淡々と読むのは最高だと思っています。そういう朗読を聴くと、聴き手の方たちが、自分なりに想像しながら聴くことができます。その場の情景が目に浮かぶことでしょう。
けれど、淡々と読む、というのは実はとても難しいことだと思います。
まず、くせをとり、素直な朗読をしなければいけません。
それだけではだめです。ただ淡々と読むだけでは、聴き手にうったえるなにものもありません。
伝わってくる何かがなければ・・・
どうすれば、そういう朗読ができるでしょう?
近道はありません。
地道に練習を積み重ねることしかありません。
また、その方の人生経験もにじみ出てくるでしょう。

数年前に、若桑みどりさんのエッセイ「虹と老人」を読みましたところ、聴きにきてくださっていた方が「淡々と読んでいらっしゃるのに、しんみりと心に染みてくるものがある。こういう読み方もあるのかと感心しました」と、感想を書いて送ってくださいました。
とてもうれしかったです。