The Gentle Rain (優しい雨)

 街を歩いていると、ふと音楽が耳に入って来ました。外国人の女性歌手が、囁きかけるように歌っています。その歌の優しさと哀しみが胸に迫りました。
 以前に聴いた記憶があります。帰宅して、手持ちのCDをチェックしましたら、ありました。何年も前にキオスクで購入した、「ボサノヴァ名曲集」の中に入っていました。題は、「ジェントル・レイン」、歌手は、アストラッド・ジルベルトです。聴いてみました。


     寄る辺のない私たちふたりは
     寄りそいながら 行くあてもなく
     この世の尽きるまで歩きつづける
   私のほほをぬらす君の涙は 優しい雨のようだ


 胸をかきむしられるような切ない音楽に乗せて淡々と歌われています。
優しさや哀しみが胸に染み入ってきます。今までご縁のあった方たちの優しさを思い出して、涙があふれました。
 以前、このCDをはじめて聴いたときは、この歌は、私に、それほど深い印象を残しませんでした。
 あれから何年も経ち、その間に、私に優しかった方たちが、次々と旅立ってゆかれました。
 もしかすると、この歌の本当の良さは、いくつもの悲しみを経て、大人になった人にしか、分からないのではないかと思いました。
 朗読もこの歌と同じです。淡々と読まれているのに、優しさや哀しみが、胸に染み入る。そして涙を誘われる。大人にしか、本当の良さが分からない・・・
私も、そんな朗読が出来るようになりたいと思います。

    http://www.youtube.com/watch?v=s6ndU7GKpjI