私の声 私の朗読

 敬愛する作家、森茉莉さんのエッセイのタイトル「私のイノサン 私の悪魔」をまねて、題をつけてみました。

声が素敵だとよく言われます。
温かい声だ、とか、高からず、低からず、聴いていて気持ちがよい、とか、聴くと気持ちが穏やかになる、とか。
そういえば、NHKのアナウンサーの方から、「普通は、話すとき、声帯が閉じるのですが、あなたの場合、閉じないのだと思います。それで、その、ふわ〜とした独特の声になるのでしょうね」と言われたことがあります。
私の声がどんな声か、私には、よく分かりません。
かえって、声の良さで損をしている点もあるのではないか、と思っています。
朗読の分かる方は、私の朗読を高く評価してくださいますが、朗読がよく分からない方の中には、声がいいだけじゃないか、と思っていらっしゃる方もあるようです。
そう言われると傷つきます。
私は、いろいろな作品を読みますので、朗読がお好きな方でも、たまたま、その方に分からない作品を読んだ時などは、当然、評価が低くなります。
広いジャンルにわたって、本を読み、その中から、私にあった作品を選ぶのは一苦労です。
自分に合うのは、どんな作品か?それを探し続けるのは、私の永遠の課題です。
今現在の十八番は、
耳なし芳一の話」(小泉八雲作)
宮本武蔵」の一節(吉川英治作)
「エルシー・ピドック夢で縄跳びをする」(エリナー・ファージョン作)
「六郎」(小林恭二作)
「枯葉」(森瑤子作)
「煙が目にしみる」(久保田照子作)
「虹と老人」(若桑みどり作)
「ニューヨークの魔法」シリーズより(岡田光世作)
名人伝」(中島敦作)
「私の部屋のポプリ」より(熊井明子作)
「日々是好日 お茶が教えてくれた15の幸福」より(森下典子作)
「京のみち」「嵯峨野みち」(瀬戸内寂聴作) 
などなどです。
また、自分の書いたエッセイも、時々、読みます。
絵本の読み聞かせも得意です。
私は、割合、淡々と読みますので、目のご不自由な方や、読書好きな方にも好評です。
ご自分の頭で、情景を想像しながら、聴けるのだそうです。
淡々と読んでいるのに、心にしんみりと染み入ってくる、ともよく言われます。
ブログで、自分の声や朗読について、こんなに長く書くのは初めてです。
朗読というのは、よほど有名にならないかぎり、大勢の方のお耳には、届きませんから、このあたりで、ちょっと書いておこうかな、と思いつきました。
自己宣伝としか受け取っていただけないなら、仕方ありません。
また、たしかに、そうでもあります。
朗読の仕事を始めてから、15、6年になるでしょうか、中年になってから始めた仕事です。
頑張ってきましたし、ある程度の成果も得ましたが、このところ、疲れを感じています。
私を愛し、理解してくださった方々が、ここ数年、次々と旅立たれたせいもあります。