古代ギリシアの春

 東京には、また雪が降って、すごく寒いですが、晴れた日には、光はずいぶん、明るくなったな、と感じます。
一足お先に、時空を超えて、古代ギリシャの春にお遊びください。
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今、岩波文庫の「ギリシア・ローマ抒情詩選」を、読んでいます。
古代ギリシャやローマの時代に創られた、詩や、碑銘などの短い作品ばかりで、拾い読みできます。
楽しいです。
呉茂一という人の訳です。
私なんぞがご託を並べてもしようがありませんから、少し、引用してみましょう。
呉さんについては、調べていませんが、このブログが、呉さんのお目にとまる可能性は少ないと思いますので、著作権問題も発生しないだろうと考えて・・
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薄紅の 花さうびともなりたしや、
    手づからとりて、
 雪をなす 君が胸わに
    飾りたまふと。

         読み人しらず

  *薄紅は、”うすあけ”と、ルビがふってあります。
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たをやかの アスクレーピアス、
  君がひとみの、煌めきは
    凪の日和か。
 人みなを恋の船路へ
    さそうてやまぬ。
         
         メレアグロス
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夕星は、
かがやく朝が(八方に)散らしたものを
みな(もとへ)連れかへす。
羊をかへし、
山羊をかへし、
幼な子をまた 母の手に
連れかヘす。
         サッポオ

  *夕星は、”ゆうずつ”と、ルビがふってあります。
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まだまだ、いい詩がたくさん入っています。
古代ギリシャの人たちは、人間の生は、この世だけ、一回かぎり、と考えていたと、何かで読みました。
ここで取り上げた作品では分かりませんが、この本に載っている、詩や墓碑銘を読むと、そうだったのだろうな、と思います。