優しい人

 ここ数年、親しい人たちの旅立ちが相次いでいます。
講談の田辺一鶴師匠も、昨年の12月22日にあの世に講演旅行に出かけられ、もう一年以上経ちました。
師匠が亡くなられて間もない頃、師匠のプロのお弟子さん、田辺鶴瑛(かくえい)さん(女性です)のブログを拝読しました。
鶴瑛さんは、こう書かれています。
・・・・・・・・・・・・・・
師匠は優しい人でした。
私は、一度もしかられたことがありません。
何でも、自由にさせてくれました。
あんなに優しい人はいません。
・・・・・・・・・・・・・・
私は、以前、数年間、師匠のお仕事を手伝ったことがあり、師匠の身近にいました。
そこで、よく考えてみますと、たしかに、師匠は、とても優しい方だった、と思います。
ただ、私の身近にいる男性は、父や弟をはじめとして、優しい人ばかりなので、男の人とは、みな、優しいものだと、無意識の内に、思っていたような気がします。
鶴瑛さんのように、伝統芸能の世界で、鍛えられた方とは違い、師匠の類まれなる優しさに気が付かなかったのです。
失って、初めて分かる・・・
ということは、たしかに、あるのだな、と思います。