みをつくし料理帖

高田郁(かおる)さんの”みをつくし料理帖”シリーズのうち、一冊目の「八朔(はっさく)の雪」と二冊目の「花散らしの雨」を読みました。とても面白かったです。

江戸時代、上方から江戸にやってきて、女料理人になる”澪(みお)”がヒロインです。当時、女料理人などはいなくて、大変だったんですね。
それに、澪には、背負っている問題がある上、いろいろ難題が降りかかってきます。

長屋暮らしの人情は温かく、気持ちがいいです。
(もっとも本当の長屋暮らしは、大変だっただろうと思います。私にはとてもできません)

また、西日本で育った私には、懐かしい食べ物が、いろいろ出てきます。
例えば、おぼろ昆布、昆布を薄く削ったものです。
その昆布でこしらえた簡単なお吸い物の味を思い出しました。
昆布の上に、おしょうゆをかけ、味の素を少し降ってお湯をそそぐのです。
子供のころ、よく作りました。

俵型のお結びも、こちらでは、あまり見かけません。
もっとも、幕の内弁当や、しゅうまい弁当は、俵型お結びだったかもしれません。この頃、あまり縁がないので。

また、これは、食べたことがないのですが、「こぼれ梅」
味醂粕だそうです。
甘くて香りがよく、女性や子供がお茶うけやおやつに好んで食べたとのこと。今もあるのでしょうか?名前もなんとも素敵で、食べてみたくなります。

ただ、こういう小説でいつも苦手なのは、登場する人たち(とくに女性)が、みなさん働き者だということです。
家事も料理も片づけ物も得意ではなく、暇さえあれば本を読んでいる私は、江戸時代に生まれていたら、とても辛かっただろうと思います。

一冊目、「八朔の雪」の八朔(はっさく)とは、八月一日のことだそうです。
もうすぐですね。
すでに読んでいらっしゃる方も多いと思いますが、まだの方は、この機会にいかがですか。