少年探偵団 乱歩とおじさん

 みなさん、この歌をご存じですか?

   ぼ・ぼ・ぼくらは少年探偵団 勇気凛々 瑠璃の色
   望みに燃える 呼び声は 朝焼け空に こだまする
   ぼ・ぼ・ぼくらは少年探偵団

 地方都市に住んでいた子供のころ、この歌がラジオから流れていました。ラジオドラマ「少年探偵団」のテーマソングです。江戸川乱歩の大人気作「少年探偵団」はラジオドラマやTVドラマ、TVアニメ、そして映画などになり一世を風靡しました。本は、今も人気があり、読み継がれているようです。
 
 当時、父が「東京のおじさんは、乱歩の友達なんだよ」と教えてくれて、びっくりしました。東京に住むようになってから、その三鷹のおじのところに、よく遊びに行きました。
おじは病気のため、外出ができなくなっていましたので、本など声に出して読んであげますと、とても喜びました。そして、乱歩の思い出話を、時々聴かせてくれました。
 
若い頃、おじは鳥羽造船所電気部に勤めていて、乱歩(本名は平井太郎)が、一時、同僚だったそうです。二人は、同じ下宿だか寮だかに暮らしていました。乱歩は、よく仕事をさぼって、昼間から部屋の押し入れにこもり、書き物をしていたといいます。乱歩は、ここに一年近くいたようです。
 
 三鷹のおじは、亡くなる前に「〇〇ちゃんに・・・」といって、乱歩直筆の短冊を残してくれました。この短冊には、「現世(うつしよ)は夢 夜の夢こそまこと」という言葉が書いてあります。乱歩の作品世界そのもので、乱歩自身の作ではないかと思います。
 
 乱歩の色紙や短冊は、そのころ、古書市などでよく見かけました。どれにも、この言葉が書いてあります。
 
 短冊には「〇〇兄に贈る」と添え書きしてありました。
古書店のご主人から聞いたのですが、贈り先の人の名前が書いてあると、なぜか、あまり高い値がつかないそうです。
 
 高価なものではなくても、私を可愛がってくれたおじの形見として、この短冊、大事にしようと思っています。

 前置きが大変長くなりました。「少年探偵団」シリーズの第一作「怪人二十面相」の冒頭部分を、今日は、お聴きいただきたいと思います。
(今週末にあるところで、「怪人二十面相」を朗読することになっています。)