「父からの贈り物 森鴎外と娘たち」展に行く

先日、世田谷文学館に、「父からの贈り物 森鴎外と娘たち」展を見に行って来ました。
写真や、手紙などが多く、親しみやすい展覧会でした。
最初に、鴎外のくつろいだ表情の写真を見て、優しい気持になりました。
次女の杏奴さんのお顔が、お若い頃は、お姉さまの茉莉さんとは、全然似ていないのに、年を取られてからは、お姉さまそっくりになられて、血のつながりとは、争えないものだな、と思いました。
また、お二人のお母様のお写真を拝見しましたが、当時の日本人には珍しかっただろうと思えるくらい、鼻の高いお顔です。
たしかに、茉莉さんの文章に書いてあるとおり、美貌でいらっしゃいます。
それから、鴎外が、ベルリンから取り寄せて、幼い茉莉さんに贈ったという、モザイクのネックレスの実物を観ることができました。
一度は失われたネックレスは、やがて、茉莉さんの手元に戻ってきたとのことですが、数年前に、雑誌の写真で見たときには、深緑色だったのに、もう、真っ黒になっていました。
明治からの長い時の流れを象徴しているみたいです。
ユリイカ」の、茉莉さんの特集を、会場で買い求め、ぱらぱらと読んでいます。
私には、茉莉さんのような素晴らしい才能はありませんが、性格に、茉莉さんと、どこか似ているところがあるような気がします。
また、茉莉さんのエッセイ、「幼い日々」を読み返しています。
何度読んでも、何年、間を置いて読んでも、いいです。
この作品を、近いうちに、朗読教室のテキストに使おうかと考えています。
会場の世田谷文学館や、文学館のある芦花公園駅に置かれていたパンフレットは、とても素敵でした。
淡いピンクの地色の上に、鴎外の写真や、12歳の日の茉莉さんの着物姿の写真、それに、モザイクのネックレスや、若き日の茉莉さんが、東京の実家の人たちにヨーロッパから送った絵葉書などの写真がコラージュされています。