双子(?)の店員さん

 仕事先のカルチャースクールがある某デパートの二階に、小さなアクセサリー店がある。熟年向きの、そこそこ品のいい品を、手ごろな価格で売っている。私は、時々立ち寄り、おもにイヤリングなどを買う。
 イヤリングは、気分転換にうってつけだと思う。OLだったころは、仕事を終えると、会社のトイレに入り、イヤリングをつけて、暮れていく街に出ていったものだ。
 話は、イヤリングのことではない。このお店には、オーナーと、店員さんが二人いる。三人とも、中年の女性だ。オーナーは、赤い服や、アクセサリーを身に着けていることが多い。二人の店員さんは、交代でつめている。二人は、いつも、地味な色の服を身に着け、ヘアスタイルも似ている。二人とも、中肉中背である。声や話し方も似ているように思う。
 この店に通い始めて、何年も経つが、いまだに、二人を見分けられない。だからと言っても、双子ではないことは、なんとなく分かる。二人が一緒にいるところを見れば、区別できるのかもしれない。
 このあいだ、その店で、二人のうち一人の店員さんに、そのことを話したところ、その近くにいた、お客さんの老婦人が、「あら、私も、そう思いますよ。お二人は、ほんとうに似ていらっしゃる」と、話に入ってこられた。私だけが、そう感じていたのではない、と分かった。
 ところで、やはり時々行く、ある病院の薬局に、三人のスタッフがいる。事務の女性は、いつも同じ人だが、薬剤師さんは、二人の女性が、交代で詰めている。
 このお二人も、最初は、見分けられなかった。お二人とも、同じ年頃で、中肉中背、メガネをかけていて、知的な雰囲気の方たちだ。
 けれど、何年も経つうちに、違いが分ってきた。お一人は、芯から温かい方のようだ。そして、もうお一人の方は、ちょっと意地悪さんかな?と思う。
 皆さんも、もしかしたら、同じようなことを経験なさっていませんか?