パパはダンディー

出かけようとすると、父に呼び止められました。
「これ、〇〇〇に似合うと思うよ」と言って、新聞に折り込まれていた通販のチラシの写真を指差します。
ブルーグリーンのセーターです。
成る程、私の好みの色です。
「通信販売は、失敗するといやだから・・・」と答えましたが、よく見ますと、色違いのセーターが、三枚で、３０００円とのことです。
このくらいのお値段なら、失敗しても、そう惜しくはありません。
その夜、帰宅してから、注文しました。
父は分かるのです。
出かける前に服装をチェックしてもらう時もあります。
デイサービスの日に、送り迎えしてくれる施設の職員の女性に、
「ヘアスタイルが変わりましたね」
などと言いますので、その方は
「主人なんか、気が付かないし、気が付いても、何にも言ってくれないのに」と大感激です。
デイサービスに行く時は、ちゃんと、自分で髪をとかしてから、出かけます。
職員の方が見えてから、髪をとかしに、洗面所に行きますので、お待たせしてしまうのですが、父のファンになったその方は、
「〇〇〇さんは、ダンディーだから」
と苦笑しながら待ってくださいます。
父は人柄も悪くありませんし、若いころは、もてただろうなと思います。
でも、多分、９７歳の今日まで、今年の夏に亡くなった母一人を守ったのだと思います。